教育現場で見直される「体育座り」
それでも、私たちが大切にしていきたい理由
近年、「学校で体育座りをしなくなっている」という話題を耳にすることがあります。
身体への負担や多様性への配慮など、さまざまな理由から見直しが進んでいる地域もあるようです。
教育は時代とともに変化していくものです。
それ自体はとても自然なことだと思います。
しかし私たちのダンス教室では、これからも体育座りを大切にしていきたいと考えています。
それは、単なる「昔ながらの習慣」だからではありません。
ダンス教育の現場だからこそ感じる、明確な理由があるからです。
体育座りは「我慢」ではなく「姿勢の基礎」
一般的に体育座りというと、
- きちんと並ぶための姿勢
- 静かにさせるための姿勢
というイメージを持たれることがあります。
しかし私たちが大切にしているのは、
「姿勢をコントロールする力」を育てる時間としての体育座りです。
両膝を抱え、背筋を意識し、バランスを保つ。
実はこれは、体幹を使う姿勢です。
ダンスにおいて最も重要なのは「体幹の安定」です。
立つこと、ターンをすること、ジャンプをすること。
そのすべての基礎は、体幹にあります。
体育座りは、その体幹を意識する最初のトレーニングでもあるのです。
「姿勢」は心の状態をつくる
長年子どもたちを指導していて感じることがあります。
姿勢が崩れると、集中力も崩れる。
姿勢が整うと、空気も整う。
これは決して精神論ではありません。
身体と心はつながっています。
丸まりすぎて力が抜けている状態ではなく、
背筋をほんの少し意識するだけで、
- 目の輝き
- 話を聞く姿勢
- 返事の声
が変わります。
体育座りの時間は、「静かにさせる時間」ではなく、
自分の身体を整える時間なのです。
なぜダンス教室では必要なのか
ダンスは「自由な表現」です。
しかしその自由は、土台があってこそ生まれます。
- 話を聞く力
- 待つ力
- 自分をコントロールする力
これらが育つことで、初めて大きく伸びていきます。
体育座りでしっかりと座れる子は、
- 振付の吸収が早い
- 注意を理解する力が高い
- 他の子の踊りを見て学べる
という傾向があります。
これは指導経験からはっきり感じていることです。
もちろん「無理」はさせません
ここで大切なのは、
無理に長時間させることではない
という点です。
身体に痛みが出る場合や、発達特性などで姿勢保持が難しい場合には、柔軟に対応します。
私たちが大切にしているのは、
「形」ではなく「意味」です。
体育座りを通して育てたいのは、
- 自分の身体を感じる力
- 姿勢を整える意識
- 集中のスイッチ
です。
現代の子どもたちにこそ必要な力
今の子どもたちは、
- スマートフォンやタブレットの使用増加
- 外遊びの減少
- 運動量の低下
といった環境の中で育っています。
その影響もあり、
- 猫背傾向
- 体幹の弱さ
- 長時間の姿勢保持の困難
が見られることも少なくありません。
だからこそ私たちは、
「できなくなったからやらない」ではなく、
「できる身体を育てる」
という姿勢を大切にしています。
体育座りがきれいにできるということは、
それだけ身体をコントロールできている証拠です。
それはダンスだけでなく、
将来どんなことに挑戦するときにも役立つ力になります。
体育座りは「抑圧」ではない
「昔ながらの厳しさ」や「押さえつけ」とは違います。
私たちが目指しているのは、
自律
です。
自分で自分を整える力。
体育座りの時間は、
レッスンの始まりに気持ちを切り替える大切なスイッチです。
楽しく踊るために、
思いきり表現するために、
まずは一度、身体を整える。
このメリハリが、成長につながります。
保護者の皆さまへ
もし「今は学校でやらないのに、なぜ?」と感じられたら、
ぜひこの理由を知っていただけたら嬉しいです。
私たちは、
- 厳しくしたいから
- 昔のやり方にこだわりたいから
体育座りを取り入れているのではありません。
子どもたちの未来のために、
- 姿勢を育て
- 集中力を育て
- 自律心を育てる
そのための一つの方法として大切にしています。
最後に
時代は変わります。
教育の形も変わります。
しかし、
「身体を整えることの大切さ」
これはいつの時代も変わらないと私は思います。
私たちのダンス教室は、
ただ踊れるようになる場所ではありません。
- 立ち方
- 座り方
- 待ち方
- 聞き方
そうした土台から育てていきます。
体育座りは、その小さな第一歩です。
これからも子どもたちが
胸を張って踊り、
胸を張って生きていけるように。
その基礎を、丁寧に育てていきたいと思います。